セラミックス基複合材料(Ceramic Matrix Composites:CMCs)と呼ばれる材料は新たな機械材料として注目され,民間航空機のジェットエンジンのタービンブレードをはじめとする高温部材への適用されようとしています.CMCは耐熱•耐酸化性能に優れたセラミックスを直径10μmのSiCやAl2O3といったセラミックス繊維織物で強化した複合材料であり,単体のセラミックスの弱点である脆いという欠点を克服し損傷を材料内部に蓄積する損傷許容性を持ちます.タービンブレードではCMCの表面に熱遮蔽,水蒸気耐性を持つ酸化物をコーティングし用いられます.
本研究室では①CMCの製造プロセスのシミュレーション,②既存のCMCの寿命予測や信頼性保証技術の確立というまさに社会実装されようとしているCMCの問題を解決すべく研究を行なっています.また,既存研究の延長線上にない「新たなCMCを創出する」という研究課題にも取り組んでいます.
宇宙往還機の再突入時や超音速機の耐熱パネル、ノーズコーンといった部材は空力加熱により2000℃を超える温度環境に晒されます。
本研究室では、炭素繊維とUHTC (Ultra High Temperature Ceramic)と呼ばれる材料を組み合わせた新たな複合材料・表面の耐熱コーティングの開発を行っています。また、突入環境時の加熱環境を再現するための風洞試験(JAXA, 宇宙科学研究所)なども実施しています。